ドロボウに入られた話 － その２

ドロボウに入られた日は定休日の朝でした。
逆に言うと、休み前の気の抜けたところを狙われたのかも知れません。

当時ウチは水曜定休で、お隣のスポーツショップは月曜定休でした。
事件の前々日、ウチの前に『宝石に興味の無さそうなファッションの男性』
が２～３人乗った車が長時間停まっていました。
お隣が休みなのでチョット不審に思いましたが、ナンバーを控えようとまでは思いませんでした。



実は私が小学校低学年の頃（店名が『足立時計店』だった頃です）
ドロボウに入られて商品をゴッソリ持って行かれた事がありました。
木造２階建で、それまでにも何度か入られて小さく盗まれていました。

ところがある朝、私が学校へ出かける為にお店を通った時いつも並んでる商品がゴッソリ無くなっていました。
その光景はいまだに忘れられません。
学校から帰ってから「ドロボウに入られた」と聞きました。

そして約３５年後、今度は（当時）小学校２年の長男に
同じ光景を見せる事になってしまいました。

その日の朝、子供たちを学校に向かわせるのにお店に入るとチョットした違和感がありました。
中央にあったショーケースのガラスが割れて床に落ちていました。
別の場所のショーケースのガラス扉も割れて傾いていました。

私はその光景を見て、間抜けなことに
　「あれ？昨日･･･地震か何かあった？」
と、子供たちに聞いてしまいました。
直後にはドロボウに入られたと気付きましたが・・・。


手法は驚くほど単純でした。
鉄のシャッターの真ん中に付いてるカギ穴の１枚上の部分を、先の尖った鉄製のモノ（バールとかドライバーみたいな？）を金槌のようなモノで数十回打ち込み、小さい穴をたくさん空けて１つの大きな穴（拳が通る位）を作ります。
そこから手を入れて、内側からカギを開けたようです。



モチロンそれだけでは開きません。内カギがかかっていますから。

その内カギですが、コレもこぶし位の大きさで、シャッターの１枚１枚が丸く湾曲している部分に押し込み、シャッターの柱に万力のようにネジで締め上げ固定する、着脱式タイプの物でした。



通常の開店準備の際、たまに内カギを取り忘れてシャッターを開けようとして、腰にグギッと来た事がありますから
「普通の力では絶対に開けられない。
　表からではどこに着けてあるか分からんし･･･」
とタカをくくっていました。

確かに普通の力ではムリ・・・。だったと思います。
「３人がかりで無理矢理開けたのでは？」と警察の方は言ってました。
ドロボウの足跡が３種類あったそうですから・・・。

その（ムリヤリの）証拠に、内カギは据付けた場所より１ｍほど高いところまで引っ張り上げられていて、シャッターの柱には力任せにやられた痕がシッカリと刻まれていました。

少しでも気付かれるのを遅らせる為か、シャッターは閉められていました。
正直、シャッターの真ん中に開けられたその穴から朝日が差し込んでいるのを見て、初めて「ドロボウに入られた」と認識しました。


私は何事も無かったかのように子供たちを送り出し
店内を一通り探索しました。
いつ入られたのか分からない上に、理解できない状況もあったので
店内にドロボウがいる可能性があったからです。