シルバーが専門外・・・な【言い訳】

ジュエリー業界に限らず、昨今の風潮では
「当店の商品以外の修理は、お断りします」
というお店が増えています。

これは、あながち間違ったことでは無いと思っていまして・・・
特に、我がジュエリー業界は
【取り扱いのない有名ブランド】や【形見のようなモノ】は
万が一、破損してしまった場合、弁償が出来なかったりしますから
自店の取り扱いメーカー以外は、修理などを受けない方が無難なのです。


とは言え、ウチのように『昔ながらの小売店』は
「出来るモノを、出来ない・・・とは言わない」方針 なので
駆け込み寺のように、修理のご依頼をいただくことが多々あります。
特に、『シルバー』製品は、購入店に断られてから、困って
ネットで当店を見つけて、ご来店いただくケースが多いですからね。


そんな中、一般の方には「区別が難しい」のですが
一般的な宝石店は、『金・プラチナ』製品を取り扱っていますが
『シルバー』製品は、専門外・・・となっています。

今日は、そこら辺りの言い訳・・・いや、ご説明をさせていただきます。

一般的に『貴金属』の定義を、ザックリ書いちゃうと
「高価」であり「錆びるなどの劣化が無い」などのイメージがあります。
そのくくりで言えば、「金・プラチナ」と「シルバー」は
同じ『貴金属』な気がしちゃうのは、仕方ありません。
シルバーは「高価」といえば「高価」ですから・・・ね。

１０年前の『冬季オリンピック』の時、ブログネタにしました
「メダルの原価的価値」で書きましたが、価格がケッコウ違います。

ちなみに、今年の『東京オリンピック』のメダルはこんな感じ・・・


１０年前と違って、価格も変わっています。
昨日（1/30）の価格で言うと・・・
金＝１グラムあたり￥６,１１０でしたが
銀＝１グラムあたり￥７１くらいです。ケッコウ違うでしょ。
銅＝１kgあたり￥６７０くらいだそうですから、１グラム１円しません。


こう書くと・・・
「シルバーは安物だから扱わない・・・ってことですね！？」
って、叱られちゃいそうですが、チョット違います。

基本的に、私たち宝石店が取り扱ってる、『金・プラチナ』製品は
壊れた時、「修理をしながら使い続けていく」ことを想定していますが
『シルバー』製品は、修理を想定してないモノが多いです。

例えば、ネックレス・ブレスレットが切れてしまった場合・・・
バーナーを使う溶接みたいな作業で、￥１,５００くらいで直せますが
『ホワイトゴールド』と『シルバー』は、メッキのかけ直しが必要なので
倍くらいの料金がかかります。

『金・プラチナ』製品は、細いチェーンでも、￥１０,０００くらいはしますが
『シルバー』の細いチェーン…って、いくらくらいするのでしょうか？
仮に、４～５,０００で売ってたら、￥３～４,０００かけて修理しますか？

たぶん、新品の方が「キレイで劣化してない」分だけメリットがありますし
余分な加工代がかかる場合は、間違いなく「買った方が安く」なります。
そんな訳で、作ってるメーカーが「直さないよね？」と思って作ってる・・・
場合が多々ある・・・それが『シルバー』製品だ・・・と思ってしまうと
末永く使っていただける『金・プラチナ』製品よりも、おススメし辛いし
価格の事もあって、やはり「格下の貴金属」と思ってる部分も否めません。


実は、『シルバー』製品は、黒く変色するのを防ぐためか？
初めから「メッキ処理」が施されてるモノが多いのですが
『シルバー』の熱の伝わりが凄いので、修理などで火を使う作業をすると
メッキが燃えて焦げてしまい、それを取り除く作業が必要になります。

指輪なら、強い磨き ができますから、ＯＫなんですが
ネックレスは、機械で磨くと切れちゃうんで・・・
手作業で磨くのは・・・受けてもらえません。
（仮に受けてもらうと、数万円の作業になっちゃうでしょう。）


『シルバーリングのサイズ直し』については
以前このブログで書きました通り
「ダイヤ以外の石が留まってる時点でアウト」
なんですが、上記の「メッキが燃えて焦げる」こともあって
細かな「彫り模様」があったり、「透かし柄」のデザインだと
磨けないので、加工職人さんに断られるケースも、多くなります。


ただし、専門外で門前払いだった『シルバー』製品も
加工職人さんが、「出来る範囲で頑張ってくれる」ようになりましたから
【お金に換えられない価値がある】モノは、是非一度ご相談ください。

お待ちしております。